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至誠にして動かざるものは   

2020年 10月 24日

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 至誠にして動かざるものは、未だこれあらざるなり  吉田松陰
 

 深秋。
 前にも綴ったが、愛知に住む親友の家に、上海勤務中の子息の奥さんと二人の幼いお孫さんが、急遽避難のため帰国し、身を寄せる生活が始まったのは1月28日だった。日本中で新型コロナウィルス感染禍事態となったのは、そのしばらく後のことだ。
 あれから9カ月近く同居を余儀なくされ、依然として先行きの見えぬ自粛宣言など……、不安をそれぞれが抱えての日々であったろう。ただ電話で友の話を聞くばかり、案じるばかりの己の非力さを痛感させられた。例年にない猛暑や豪雨など、一日一日がどんなに大変なものだったか。同い年の友は賢明だ。そんな彼女だからこそ、ご主人とともに情況をふまえ、5人の非日常を普段のように自然体で受け入れ過ごせたのだと思う。彼女とのみLINEをつないでいるが、常に私の身をも案じて、電話とLINEで連絡をくれる。
 9月下旬に、ようやく上海への目処がつきそうだとの一報を聞いてからも、検査のための健康管理が課題となり、気遣いもこれまで以上であったようだ。
 そして、10月20日出国の朝、ご主人の運転で関西国際空港へ。空港はガラガラだけれど、午後6時発の飛行機待ちですでに列ができていたという。こうして無事3人の出国が叶った。上海に到着しても二週間は子息との面会はできず、ホテル住まいを強いられるらしい。一日も早く子息との生活に戻られることを祈りたい。
 夜、送って今帰って来た、との電話があり、ほんとうにご苦労さまでした。長かったよね、でもあなただからこそだし、これから先、時が経ってから、お嫁さんはあなたの真情がしみじみわかられると思う……とあれこれ話をした。早速大掃除を済ませて、日曜から夫婦で温泉に出かけるとの由。けれど、お気に入りの宿の一軒は宿泊客が少なく、積雪を待たず今月末で休業とか。コロナウィルス感染禍の影響はやはり計り知れない。
 先だって、薫さんが喜んでくれそうな気がして、と彼女から届いたちりめんの秋のお供え物を眺めつつ、半世紀に近い親友の変わらぬ至誠を薫さんに語りかけている。
 昨夜、彼女から電話があり、ホテルから自宅に戻れて、11日後には子息と会えるという連絡があったとのこと。もうすぐお嫁さんと子息の再会が果たせて、幼子たちも父親に会えると思うと、私まで無性にひしひしとうれしくなった。
 夫婦でゆるゆるのんびりしてきんしゃい、そして、やっぱり至誠の人、終生の友やねえと、ありのままの薫さんがいたなら、ほかほか笑顔で、きっとそう言うに違いない。
 

by kunpu-15 | 2020-10-24 09:35

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